管理栄養士の山内です。天気が良い日は外で過ごすのが気持ちよい季節になりましたね。同時に、5月でも最高気温が25℃以上の夏日となり本格的な夏を迎える前であっても熱中症に注意が必要な時期になってきました。
消防庁によると今年の5月1日〜11日の間ですでに全国で400人以上の方が熱中症で救急搬送されているようです。体がまだ暑さに慣れていないため、気温が高くなる日に活動をする際には、屋外でも室内でも体調に注意し、水分補給と適度な休憩をすることが大切です。今回は乳幼児期の水分補給の必要性についてお話ししたいと思います。
水分補給はいつでも意識しましょう

人間は1日に約2.5ℓ前後の水分を尿や便、汗、皮膚蒸発、呼吸などで体から排出しています。体重の約2%の水分を失っただけでのどの渇きを強く感じ、食欲不振に陥ることもあるといわれています。このことから、夏の暑い時期だけでなく、季節に関係なく一年を通して水分補給が大切だということがわかります。
特に乳幼児期のお子さんは新陳代謝が活発ですし、体は小さくても大人と同じ汗腺の量を持っているので大人よりも汗をかく量が多く、それだけ必要な水分量も多くなるのです。
育児用ミルクや母乳がメインの間は決まった時間にしっかり水分を与えることができますが、離乳食が始まりミルクや母乳の量が減ってくるとそれ以外からの水分補給が必要になります。
必要とはいっても一度に大量に飲むと体に負担がかかってしまうので、1回50㎖~100㎖を程度をこまめに補給するのが理想的です。
「こまめに」ってどのくらい?
では、こまめな水分補給とは一体どのくらいの間隔をいうのでしょうか?こまめとは、だいたい30分に1回が目安のようです。しかし、30分に1回というのはかなりの頻度なので、昼寝の最中や、夢中になって遊んでいる時に30分に1回というのは難しいかもしれません。そんな時は、タイミングを決めて飲むことでこまめに水分補給ができますよ。
水分補給のタイミング
- 起床後
- ご飯やおやつの時
- 外出前と外出後
- お昼寝の前とお昼寝から起きた時
- 入浴前と入浴後
- 就寝前
のどが渇く前に 1回あたり50㎖~100㎖を目安に飲むとよいでしょう。
水分補給は何をどのくらい摂ればいいの?

先にお話しした通り、子どもは新陳代謝が活発なので、体は小さくても大人より必要な水分量が割合的には多くなります。
1日に必要な水分量は、体重1キログラム当たり新生児期で50㎖から120㎖、乳児期で120㎖~150㎖、幼児期で90㎖~100㎖、児童期で60㎖~80㎖、成人期で40㎖~50㎖となります。体重10㎏の幼児期のお子さんの場合、1日に900㎖~1000㎖の水分が必要になります。ただしこれは、食事から摂取する水分量も含んでいるため、必要量をすべて飲み物として摂取しなくても大丈夫です。
また、下痢や嘔吐が続いた後や運動後はさらに多くの水分が必要になるので、体調や活動量などの個人差も考慮して水分を摂取しましょう。
どんなものを与えるかですが、ジュースやスポーツドリンクは糖分が多いため、日常的に摂取して習慣化してしまうと虫歯のリスクを高めてしまいます。また、糖分を分解する時にはビタミンB1を消費しますが、ビタミンB1が不足するとバテやすい体になってしまいます。水分補給は糖分やカフェインが入っていない湯冷まし、麦茶などがおすすめです。ミネラルウォーターは硬水だとミネラルを多く含み腎臓に負担がかかるので軟水の方がよいでしょう。1歳を過ぎた頃から牛乳も飲めますが吸収に時間がかかるので、コップで1日1~2杯くらいがよいでしょう。
冷たすぎる飲み物は胃腸の働きを低下させることがあるので大量に与えすぎないように気をつけましょう。イオン飲料は、嘔吐や下痢、発熱や大量の発汗があった場合に与えるのが基本なので日常的に飲むのは避けましょう。
上手に飲む練習をしましょう

生まれてから数か月、育児用ミルクや母乳が中心だった赤ちゃんにとって、はじめのうちは麦茶の味にびっくりして吹き出してしまうなど、水分補給をするためには練習が必要なこともあります。赤ちゃん用のスプーンや哺乳瓶、スパウト、ストローマグ、コップなど、飲み方はいろいろです。個人差や好みもあるため、無理なくお子さんのペースに合わせてサポートしながら見守ってあげましょう。
今の時期から上手な水分補給を心掛ければ、これから気温があがる夏に向けて熱中症予防にもなりますよ。