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子どもの味覚の育て方~後編~

管理栄養士の山内です。9月に入っても暑い日が続き、今年は長い夏になりましたね。ぺんぎん保育園では秋祭り、敬老の日のイベント、お月見会など秋の行事を行いました。夏から秋へ移り変わる今の時期は、気温差があるので体調には十分気を付けながら過ごしたいですね。

さて、前回のコラムでは舌や口の中にある味蕾(みらい)という感覚器官で味を感じていることや、 ①甘味 ②塩味 ③うま味 ④酸味 ⑤苦味の5つの基本味 のお話をしました。そして、 「おいしい」と感じる感覚は、学習によって育てるものであり、子どものうちにたくさんの味を経験し味覚の幅を広げておくことが、味覚の発達につながることもお伝えしました。今回は、味覚の育て方のポイントをお話しします。

目次

味覚を育てるポイント

①薄味を心がける

離乳食の時期を終えて、大人と同じものを食べさせるようになった時に気をつけたいのが味つけです。濃い味に慣れてしまうと薄味のものを受け入れることが難しくなってしまいますし、濃い味のものを食べ続けると、舌の感覚が鈍り、味を感じにくくなってしまうそうです。

出汁をきかせて調理すると、出汁のうま味によって調味料に頼らなくても味を感じやすくなるので、子どもの成長段階に合わせ、大人用の味をつける前に取り分けるなど工夫ができるといいですね。

新鮮な旬の食材は素材そのものが持つ「うま味」がたっぷりで栄養価も高いので、積極的に取り入れることをおすすめします。また、旬の食材はうま味だけでなく甘味や苦味、塩味など複合的な味を持っていて、それらを一度に体験することができるので味覚を育てることにつながります。

②よく噛んで食べる

お米をよく噛んでいると甘味を感じたことがある人は多いのではないでしょうか?これは、お米のでんぷんと唾液の働きが関係していて、でんぷんは口に含むと唾液に含まれる消化酵素の働きで甘味が増します。

なかでもお米のでんぷんは、炊くことによってアルファー化(糊化)して粘り気と糖化が進むため、より甘味を感じるわけです。甘味を感じることができたのはしっかり噛めていたという証拠でもありますね。

③口の中は清潔に保つ

口の中にはもともと細菌が存在します。味覚は唾液や水に溶けたものしか感知することができないので、舌に汚れが厚く付いていると味を感じにくくなってしまいます。

こまめな歯磨きやうがいで口やのどをきれいに保つことで味覚を感じやすくし、食べ物の微妙な味がわかるようになります。

④一緒に楽しく食べる

子どもに簡単なお手伝いをしてもらうことで食材への関心を高めることができます。また、一緒に食卓を囲んでコミュニケーションを取りながら料理を味わい、おいしさを共感することは喜びにもつながります。この喜びが「おいしい」という記憶と結びつくことで食べる楽しみにもつながります。

⑤亜鉛を摂る

味を感じる味蕾は短いサイクルで新陳代謝を繰り返し、新しい細胞に生まれ変わっています。この生まれ変わりに不可欠なのが亜鉛です。

体内の亜鉛が不足すると、新陳代謝がスムーズに行われなくなってしまい味を感じにくくなると考えられています。ファーストフードやインスタント食品などの加工食品には、亜鉛の吸収を妨げるリン酸塩などの食品添加物が含まれているため、加工食品ばかり食べていると亜鉛不足になりやすいといわれています。

亜鉛が多く含まれている食品で子どもが食べやすいものとしては卵、チーズ、高野豆腐、きな粉、納豆、牛ひき肉、わかめなどがあります。いろいろな食材から積極的にとるようにしましょう。

味覚以外にも!?おいしいと感じる感覚

かわいらしく盛りつけたご飯

たくさんの味を経験するインプットが大事ですが、味覚を育てるためには味だけでなく嗅覚や視覚など五感を活かして味わうことも大切です。おいしいと感じる感覚は盛りつけ、歯ごたえ、香りなどが複合的に作用しているものなので、五感が刺激されることで感受性が養われ脳も活性化します。

特に離乳期は好き嫌いが始まる前の味覚発達における黄金期であり、味覚の幅を広げるチャンスです。子どもの味覚や食習慣を決めるのは大人ですから、減塩を心がけ、おいしさを共感できる食生活の環境を整えてあげたいですね。

この記事を書いた人

管理栄養士免許取得後、薬局や市の保健センターで健康相談、乳幼児健診フォロー、特定保健指導など担当し、赤ちゃんから高齢者まで幅広い世代に関わってきた。ぺんぎん保育園には2017年の開園時より勤務しており、日々安心で安全な給食を提供できるよう努めている。

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