管理栄養士の山内です。朝晩の涼しさや心地よい風を感じると日に日に秋が深まっていくのを感じます。実りの秋の到来ですね。スーパーなど店頭には旬の食材がいろいろと並んでいます。ぺんぎん保育園でも秋の食材を取り入れた昼食やおやつを提供しています。なかでも、デザートにりんごがつく日には園児たちも嬉しそう。りんごを食べるために苦手な野菜だって頑張って食べてくれます。
そこで今回はりんごについてお話をしたいと思います。実はりんごは食育におすすめの食材なんですよ。
りんごの種類はどのくらい?
りんごにはたくさんの種類があり、味はもちろん大きさや色、形などさまざまです。世界では約15,000種、日本では約2,000種類もあるといわれています。ふじ、紅玉、つがる、ジョナゴールドなどの代表的な紅い品種以外にも、王林やきおうなど黄色や黄緑の品種、金星、星の金貨という素敵な名前の黄色いりんごもあります。お子さんと一緒に見た目や味の違いを比べるのも楽しいですね。
りんごの効能
昔から、「1日1個のりんごは医者を遠ざける」といわれているほどのりんご。いろいろな効能があります。
リンゴポリフェノール
皮に近い部分に多く含まれていて強い抗酸化作用があります。アレルギーを予防したり、コレステロール値を下げて血流を改善したりする効果などが報告されています。また美白効果もあるそうですよ。
ペクチン
水溶性食物繊維のペクチンは善玉菌を増やして腸内環境を整え、便秘に効果があるとされています。加熱することで働きが上がるので、整腸効果を期待する場合はコンポートや焼きリンゴなど加熱調理がおすすめです。
セルロース
不溶性食物繊維のセルロースは保水性が高いので、便の量を増やし腸を刺激してぜん動運動を助けます。
ビタミンC
酸化型という加熱しても壊れにくい性質を持ったものが含まれています。皮膚や粘膜の健康維持を助けるなど体づくりに欠かせない栄養素です。肌荒れの改善や、美肌効果があることも知られていますね。
栄養丸ごと!スターカット
りんごは皮をむくのがめんどうだなという方にもおすすめの、スターカットという切り方があります。通常は、りんごのへたの部分が上になるように置いて上から包丁を入れる切り方ですが、スターカットはりんごを横向きに置いて水平にスライス(輪切り)します。輪切りにすると真ん中に星型が現れるので『スターカット』と呼ぶそうです。
りんごの栄養は皮に多く含まれているため、皮を取り除いてしまうと実は多くの栄養が失われてしまいます。つまり、りんごは皮も一緒に食べた方が栄養を丸ごととれるんです。スターカットはりんごの皮を残す切り方なので、りんごの栄養を無駄にしません。お好みの厚さにスライスすることで皮の食感も気になりません。
ちなみに、りんごの皮の表面がテカテカしているものはワックスを塗ってあると思う人もいるそうですが、これはりんご自体のろう物質なので洗ってそのまま食べても問題ありません。
りんごを安全に食べよう
りんごの誤嚥を防止し、安全に旬の味覚を楽しむためには、お子さんに合わせた調理方法にしましょう。内閣府が出しているガイドラインでは、「咀嚼により細かくなったとしても食塊の固さ、切り方によってはつまりやすい食材」として、りんごは離乳完了期まで加熱して提供すると記載されてい ます。りんごは加熱すると柔らかくなり誤嚥の危険性を抑えることができるとされています 。
離乳食完了期まではすりおろし+加熱
果肉の部分はすりおろしていてもザラザラと果肉感があり少し硬く、すりおろし器によっては塊が残ってしまうことがあります。加熱することで果汁と果肉が均一になり、果肉も柔らかくなりまとまるようになります。
すりおろしを卒業したらスライスを加熱
すりおろしの必要がなくなっても、細かく切ったりんごは、かみ砕くとさらに細かくバラバラになってしまいます。加熱しコンポート状にすると、大人の指で潰せるくらい柔らかくなり、噛んでもまとまるようになります。
お子さんの安全性を考慮し、離乳完了期までは必ず加熱して提供するようにしましょう。離乳完了期を過ぎても、お子さんの成長に合わせて加熱するかどうかを調節して下さい。
食事中と食後はお子さんの様子をよく観察しましょう
① 正しい姿勢で食べられているか
② 上手に飲み込めているのか
③ 食後は何かいつもと変わったことがないか
上記の点を観察してあげて下さい。
食後は何かいつもと変わったことがないかについてですが、誤嚥の症状として
・突然の咳き込み、咳の出現
・声がかすれている、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューした呼吸の音)
・つばが飲み込めず唾液をだらだら流している
・胸部の不快感や痛み
など様々です。食事中だけでなく食後も観察してあげることが大切です。苦しそうな呼吸や窒息、けいれん、顔面蒼白などがあれば救急車を呼ぶ、すぐに受診をするなどの対応が必要です。
りんごは食後のフルーツや間食にも取り入れやすくおすすめの食材です。ぜひ、今の時期が一番おいしい栄養たっぷりのりんごを安全においしく味わいましょう。