こんにちは。管理栄養士の山内です。急に寒くなってきて、風邪や胃腸炎など様々な感染症に気をつけながら過ごす季節になりましたね。実はこの時期は便秘にも注意が必要です。こまめに水分補給をする夏に比べて、気温が低い冬はのどの渇きに気づきにくく、水分の摂取量も減りがちになってしまいます。水分摂取量の不足だけが便秘の原因ではありませんが、特に幼児期は排便のリズムもまだ整っていないため、前回出たのはいつだろう?ということもあるかもしれません。回数や頻度が少ないと便秘かも?と気になりますよね。そこで、今回から2回に分けて便秘についてのお話しをします。
便秘とは
便秘とは便が長い時間出ないか、出にくいことをいいます。回数の少ない目安として、週に3回より少なかったり、5日以上出ない日が続けば便秘と考えます。
また、排便が毎日あっても、排便時に痛がって泣いたり、肛門が切れて出血があったりなど苦痛を伴う場合も便秘と考えます。小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しずつ1日に何回も出ている場合は、腸に便が溜まりすぎて漏れ出ている可能性も考えられるため、やはり便秘が疑われます。
便秘のために、治療が必要な状態を「便秘症」といい、便秘症が1~2ヵ月以上続く場合を「慢性便秘症」といいます。子どもでは、便秘症は10人に1人くらいの割合かそれ以上と考えられているので珍しいことではないようです。
便秘の悪循環
硬い便を出す時に肛門が切れて痛い思いをすると、2~3歳くらいの子どもは次の排便を我慢してしまったり、肛門の筋肉を締めながらいきむようになります。しばらく我慢すれば出したい気持ちが落ち着くので、便は大腸に残ったままになります。大腸は便から水分を吸収するので残った便はどんどん硬くなり排便時に強い痛みを伴うようになります。子どもは痛いのを嫌がり、ますます排便を我慢するようになる悪循環となるわけです。
また、この状態が続くと、腸内に常に便が残っている状態となります。便秘でない人は、直腸に便が溜まると便意を生じますが、それが起こりにくいので便意を感じず、ますます便が残って硬くなっていくという二重の悪循環が起こってしまうんです。
便秘の原因
子どもにとって便秘になりやすいタイミングがいくつかあります。
生後3~4ヶ月頃 お腹の力が弱いために便を出す力も弱く、便の回数が少なくなって、お腹が張ってしまうことがあります。お腹や肛門、自律神経などに生まれつきの病気がないか、診察が必要なこともあります。また、お腹が張ってミルクを飲む量が減ったり、吐き戻しが増えたりすることがあります。
1歳過ぎ頃 離乳食から幼児食への切り替えによる食事の変化や自我の芽生えによる便意の我慢、活動量が増えることによる水分不足などから便秘になりやすい時期です。
2~3歳頃 トイレットトレーニングのため便意を我慢してしまう、硬くなった便を出す時の痛みが怖くて出すのを嫌がるなどから便秘になりやすい時期です。
便秘かも?のサイン
幼児期は自分の体の状態をまだ上手く言葉にできないので、周りの大人が普段からよく観察しなければなりません。次のような状態は便秘のサインかもしれません。
- お腹が張って食欲がなくなる
- なんとなく1日中機嫌が悪い
- 「お腹が痛い」と言う
- トイレに行ってもうんちが出ないと諦めてしまう
排便の感覚がまだつかみきれない幼児期は、トイレトレーニングで失敗してしまうことがあるかもしれません。その時に叱られてしまうと、その意味が理解できず、次からは叱られないために排便を我慢する場合があるので、できるだけ見守ってあげましょう。一度便秘になってしまうとその後の排便にも苦労してしまうことがあります。
できればお子さんには便秘とは無縁の毎日を過ごしてほしいですよね。次回は便秘予防のためにはどんなサポートができるのかをお話ししたいと思います。