こんにちは。管理栄養士の山内です。前回は子どもの便秘について、その原因や便秘の悪循環に注意が必要なことをお伝えしました。できればお子さんには便秘で苦しむことのない毎日を過ごしてほしいですよね。そこで今回は、便秘予防のためにはどんなサポートができるのかをお話ししたいと思います。
生活リズムの見直しをしましょう
- 早寝早起きをし、規則正しい生活をしていますか?
- 1日3食、バランスのとれた食事をとっていますか?
- 間食は決められた時間以外は食べないようにしていますか?
- 散歩などの軽い運動をしてなるべく体を動かすようにしていますか?
生活習慣の改善は、すぐに目にみえるような効果がでるものではありません。しかし、生活リズムを整えることは便秘予防だけでなく、お子さんの健康のためにも良いことなので規則正しい生活を心がけましょう。
記録をつけてみましょう
すでに育児日誌をつけているようであれば排便状態も一緒に記録すると良いですね。日本小児栄養消化器肝臓学会や製薬会社などのホームページから排便日誌のPDFファイルをダウンロードすることができますし、排便日誌をつけられるアプリもあるのでご自分にとって使いやすいものを見つけて記録をつけてみることをおすすめします。
便の硬さや量、出血や痛みがあったかなどの症状や気づいたことを記録して日頃の排便状態を正確に知ることは大切です。また、便秘症状が出て病院を受診する時に持っていくと、医師が状態を把握するのに役立ちます。
食事を見直しましょう
食事がどれくらい便秘に効果があるかは、お子さんによって異なるのではっきりわかっていないこともありますが、生活リズムの見直しと同様に、健康のためにも良いことなので食事の内容にも気をつけてみましょう。
まずは、食事量が十分とれているか、乳児では哺乳量が足りているか見直しましょう。便の量が少ないと、腸に長く留まることになるため、水分が吸収されて便が硬くなります。お菓子やジュース、乳酸飲料などの甘い飲み物などはカロリーが高くお腹がいっぱいになって食事に影響してしまうこともありますし、便の材料とならないので控えた方がよさそうです。
便秘改善に食物繊維を摂るというのはよく知られていると思います。これまでは食物繊維には栄養がなく不要なものとして考えられてきましたが、研究が進むにつれ様々な生理作用や機能が見つかり、5大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)に次ぐ「第6の栄養素」ともよばれるようになりました。
食物繊維は他の栄養素のように胃や腸で吸収されることなく便として排出されるため、便の量は食物繊維の摂取量に比例するといわれています。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれに特徴があります。
水溶性食物繊維
水に溶け、他の食べものと混ざり合ってゲル状になります。水分を吸収することによって便をやわらかくして排便を促します。また、腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らすことで腸内環境を整えます。腸内環境を整えることは免疫力のアップにもなります。
<水溶性食物繊維が多く含まれる食材>
わかめ・昆布・オクラ・長芋・こんにゃく・果物など
不溶性食物繊維
水に溶けずに、腸内で水分を吸収して膨らみ、便のかさを増やすことによって腸のぜん動運動を活発にします。ただし、不溶性食物繊維はかさの増えた便で便秘がひどくなることもあるので注意しましょう。
<不溶性食物繊維が多く含まれる食材>
大豆など豆類・ごぼうなど根菜類・きのこ類・穀類や雑穀など
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、どちらかをたくさん摂ればよいのではなく、どちらもバランスよく摂ることが大切です。
食物繊維は、意識して摂らないと不足しがちになります。食物繊維の豊富な野菜や果物、芋類、豆類、きのこ類などを毎回の食事に登場させて、積極的に食べるようにしましょう。
最後に
便秘は多くの人が経験することではありますが、排便とは、本来はスッキリ気持ちがよいことです。リズムができると、子どもの自立の世界が広がることにもつながるのでこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。
なお、便が何日も出なくて辛そうな場合には、一時的に薬剤を使用して排便を促し、排便リズムを取り戻す手助けをした方がよいこともあるので病院を受診することも考慮してみてください。