こどもたちは毎日、たくさんの「感じる体験」をしています。
おもちゃをなめる、床を這う、風にふかれる…。大人から見ると何気ない行動も、実は脳や体の発達にとって大切な「学び」の時間なのです。
発達に必要な感覚~五感+前庭感覚・固有感覚~

人の脳は、目・耳・鼻・口・皮膚などから入る感覚情報を整理して、動きや気持ちをコントロールしています。これを「感覚統合」と呼びます。特に0〜2歳の時期は、脳が感覚を整理する力を急速に育てている時期。五感に加えて、体の動きやバランスを感じる「前庭感覚」や「固有感覚」も大切な役割を果たします。
たとえば、抱っこでゆらゆら揺れる体験は、前庭感覚を育てて姿勢を保つ力の基礎になります。ハイハイやボール遊びでは、手足の力加減を感じる固有感覚が刺激されます。こうした感覚が少しずつ整理されることで、こどもはバランスよく立ち上がったり、手を上手に使ったりできるようになります。
感じる経験(遊び)は発達を支える栄養

感覚の発達を支えるのが「遊び」です。お風呂で水をすくう、草の上をはだしで歩く、洗濯物を一緒にたたむ——どれも立派な感覚あそび。感覚が豊かに育つと、動きや気持ちのコントロールがしやすくなり、「できた!」「楽しい!」という体験が増えていきます 。
0〜2歳の遊びは、未来への大切な準備期間です。特別な教材がなくても、日常の中で五感を使う遊びをたくさん経験させてあげましょう。「感じる」「動く」「笑う」——そのひとつひとつが、こどもの発達を支える土台になります。
当園ではこのような感覚遊びを取り入れています!
ここからは、当園の運動プログラム(運動あそびの時間)の中で取り入れている「感覚遊び」をご紹介します。今回はその中でも、こどもたちに人気の 「マット山登り」 と 「平均台」 を取り上げ、遊びの中で育まれる〈使う感覚〉と〈ねらい〉をご紹介します。
1.マット山登り
〈使う感覚〉
触覚・固有感覚・前庭覚
〈ねらい〉
・ハイハイでマット山を登り降りすることで、手で体重を支える感覚(固有感覚)を養います。
・マット山の傾斜具合によって、自分の身体の傾きを感じ前庭感覚を養います。
・マットに触れることで自分の手や足の位置を認識し、触覚と固有感覚を養います。
2.平均台
〈使う感覚〉
前庭感覚・固有感覚
〈ねらい〉
・体重を支える筋肉への刺激(固有感覚)で歩く際の体重の支え方を学習します。
・グラグラ不安定な感覚(前庭感覚)の刺激を受けることでバランス能力を養います。
・グラつかないように体幹を使うことで固有感覚が養われ、姿勢の安定化します。
ご家庭には「育ちのファイル」をお渡ししています

運動プログラムでは、お子さまの成長をより丁寧に見守るために「五感の育ちファイル」を作成しています。こちらは3ヶ月に一度、発達の様子を評価(アセスメント)し、今のお子さまの姿を“見える化”する記録です。
ファイルには「五感の育ち」として、得意なこと(強み)や、これから伸びていきそうな力(伸びしろ)を整理し、その力を育むための遊びを理学療法士(PT)が提案します。
さらに、全身を使った運動や手先の運動の写真を掲載し、活動中の様子に対して保育士からのコメントも添えることで、園での具体的な姿が伝わる内容になっています。また、次の3ヶ月に向けた遊びの計画もPTが記載し、発達を継続的にサポートしていきます。
最後には、保護者の皆さまからのコメント欄も設けていますので、ご家庭での気づきや成長の喜びを共有いただけるようになっています。園と家庭で一緒に「育ち」を支えていくための大切な記録です。


