こんにちは、ぺんぎん保育園の看護師服部です。新しい年が始まりました。年末は静かだった保育室内も、新しい気持ちで登園してきた子どもたちの元気な声が飛び交い、活気が戻ってきました。今回のコラムでは、園内で行った、保育園看護師から保育士に向けたけいれん発生時の勉強会の内容をご紹介します。
子どもの「けいれん」を見たことはありますか?
子どもを持つご家族の中で「けいれん」を見たことある方はどのくらいいらっしゃいますか?
けいれんを見たことある方は、とてもびっくりした、ショッキングな光景ではなかったでしょうか。
以前私が勤めていた病院では、1日に数名、けいれんの子どもが救急車や夜間診療で受診に来ていました。救急外来にとってはそれほど珍しい症状ではありません。
しかし、けいれんがあった後、子ども以上に動揺しているのが、付き添いの家族です。
子どもにとっては眠っている間にけいれんが起こっていますが、親御さんにとってはとてもショッキングな光景で、中には泣いてしまう親御さんも少なくありません。
受診中にも再度けいれんしてしまう子もいますが、子どもの対応と同時に叫んでしまう親御さんの対応に追われてしまうことも日常茶飯事です。
ぺんぎん保育園のスタッフの中にも、けいれんを目撃したスタッフもいれば、保育士になって何十年も経つが実際のけいれんを見たことのないスタッフまで様々です。
けいれんって何?
けいれんとは脳の異常な興奮によって、全身または身体の一部の筋肉が発作性にかつ不随意的(自分の意志とは関係なく)に起こる「持続性あるいは断続性の筋肉の収縮」を指します。小児の約10%が、けいれんを経験すると言われています。
けいれんの中でも一番多いのが熱性けいれんで小児の約15~20人に1人が経験すると言われています。
よく間違える方もいらっしゃいますが、発熱の時に起こるけいれん=熱性けいれんではありません。確かに発熱時のけいれんの90%は熱性けいれんで怖いものではありませんが、中にはてんかん発作など怖い病気が隠れていることもあり、特に初めてのけいれんの時の受診はとても大切です。
夏によく聞く熱中症でも、その症状の1つにけいれんがあります。
また、熱性けいれんも、熱が高い状態でけいれんすることもありますが、熱の上がり始めにけいれんすることが多く、元気だと思っていたのに、けいれんが起こったあとに熱があることが分かったというケースも多いです。
実際のけいれんってどういう状態??
典型的なけいれんでは、以下のような症状が起こります。
- 眼球が上転(白目)したり、横を向いたりする
- 全身を硬くつっぱらせる、大きく進展と屈曲を繰り返す
- 唇や口元がヒクヒクと動く
- 唾液の泡をふく
また、けいれんのために呼吸が妨げられるので、時間が経つとだんだん顔色も悪くなります。名前を呼んだりしても反応がありません。言葉で聞くと難しいですよね。
子どもが震えている!これって「けいれん」??
救急外来や保育園でもよくけいれんと間違えるのが、発熱上昇時に寒気がおこっていることで震える(「シバリング」といいます)ことと混同してしまうことがあります。
これは熱が急に高くなる時に、手足が冷たくなり体をガクガクとふるわせる状態です。
熱性けいれんとの違いは、話しかければすぐ反応する、手足を押さえればふるえがとまる、といった点です。多少ボーッとしていても、呼びかけに何とか答えてくれます。
それに比べて、けいれんは他の人が押さえて止めたくても止めることはできません。
他にもけいれんとシバリングの違いはたくさんありますが、けいれんとシバリングの見分けは簡単!と思いきや病院の看護師でもシバリングとけいれんを間違えることもよくあります。
ですので、万が一けいれんだった場合の処置が遅れるのを防ぐため、ぺんぎん保育園ではけいれんと確信が持てなくても「けいれんかな?」と少しでも思ったら他のスタッフを呼ぶようにルールを決めています。
今回のコラムはここまでにして、次回のコラムでは実際ぺんぎん保育園でけいれんが発生した際にどう行動するか、研修内容を少しお伝えします。
ぜひご家庭でも参考にしてみてくださいね。