こんにちは、アクタガワの理学療法士、鈴木三恵です。ぺんぎん保育園には、月2回ほど運動遊びのアドバイザーとして勤務しています。新年度がスタートし、保護者の皆様も子供たちも、入園や進級といった環境の変化に忙しい日々を送っていることと思います。ぺんぎん保育園の運動遊びも、今年度より子供たちの運動発達の目安としている指標をリニューアルしました。ぺんぎん保育園に在籍する0~3歳の子供たちに合わせた20段階の指標は、前年度まで活用していたものから、より発達段階に沿った内容へと変更しています。今回は、主となる4つの項目をご紹介します。
指標項目①:筋力・体力
人間の体を支えるために必要なのが筋肉です。その筋肉が発揮する力を「筋力」といいます。そして、「体力」とは、単に持久力と捉えられがちですが、実は筋力や敏捷性、心肺機能など、人間の身体の総合力を表しています。今回、敢えて「筋力・体力」としているのは、身体を動かす力と運動に対する耐性(疲れにくさや運動中の身体反応)という意味で用いています。
指標項目②:バランス・身体感覚
重力に抗して姿勢を保ち、二足歩行を可能にするためには「バランス能力」が必要です。そして、バランス能力のキーとなるのが「身体感覚」です。自分の体が今どんな状態にあるのか、ということを人間の脳は常にモニターしています。「傾いている?手や足の位置は?どこまでだったら姿勢を崩しても元に戻すことができるかな?」と無意識に情報が処理されてバランスを保つために活用されているのです。こうした感覚を受けての身体反応を見ていくのが本項目になります。
指標項目③:走力・瞬発力
人は成長過程でハイハイから立ち上がり、歩行を経て走ることができるようになっていきます。走ることの重要性については前回のコラムでも触れさせていただきましたが、人が地球上を移動するための手段として不可欠である「歩く」ことの発展動作であり、非常に多くの身体機能の相互作用によって実現される「走る」動作は、子供の成長を見る上でも重要な指標となります。
指標項目④:玩具操作・運動コントロール
操作性、というと手での作業を思い浮かべることが多いと思います。勿論、この手の動きというのも人間の発達には非常に重要で、特に手指の器用さは脳や言葉の発達と関連性が深いと言われています。また、道具を操作するというのは非常に高度な能力でもあります。単純に力を出すだけでなく、自分の力をコントロールすることが必要になるからです。自分の力が物に対してどのように作用するのか、様々な玩具を扱う中で、子供たちはとてもたくさんのことを学んでいきます。
以上、大きく4つの項目に分けて子供たちの成長をサポートしていきます。また、20段階に設定してありますが、20段階目については、個々に得意な領域では進捗も早いため、一定の段階まで到達したら項目に合った運動の記録を測定していく方式を採用しました。子供たちの成長を見える形にすることで、その子の得意が見えるきっかけに繋がっていければと思っています。