保育園看護師の朝比奈です。みなさん、予防接種は定期的に受けて下さっていますか。みなさんもご存知だと思いますが、予防接種は病気を予防する上で大切なものに位置付けられています。ここでは、予防接種の大切さについておさらいしていきたいと思います。
免疫とワクチンの関係性
人は感染症にかかると体の中に抗体が出来ます。この抗体は、新たに外から攻撃してくる病原体に打ち勝つことができるものです。この仕組みを「免疫」と言います。
この免疫の仕組みを利用しているのが「ワクチン」です。ワクチンは、身体を攻撃しない病原体や病原体の一部などをもとに作られます。そして、ワクチンを接種することにより、その病気にかかりにくくなったり、重症化せず、軽症で済むようになります。
赤ちゃんは、お母さんの体の中にいる時にお母さん自身が持っている免疫を持って生まれてきますが、ある時期を過ぎるとその免疫が消えて行ってしまいます。例えば、百日咳ウイルスの免疫は生後早い時期に、麻疹(はしか)ウイルスの免疫は乳児期後半には消えてしまいます。そのため、時期に合ったワクチンの接種が必要です。
ワクチンと副反応
ワクチン接種と切っても切れない関係なのが副反応です。ワクチンを接種すると、免疫反応が起こる事は先ほど説明しましたが、この免疫反応の一部と言われているのが副反応です。
例えば、免疫細胞が病原体を倒そうとするとします。すると、免疫細胞は毛細血管を広げる物質を出します。血管が広がると、そこに血流が増え、患部は赤くなり腫れてきます。また、病原体は熱が高いと上手く働く事が出来ないので、発熱することもあります。免疫反応が起きることよりもメリットがあるとされているものが、現在ワクチンとして認められています。
副反応の症状とは?
・接種したところに出る症状:赤み、腫れ、熱感、痛みなど
・全身に出る症状:倦怠感、発熱、筋肉痛など
・重篤な症状:嘔吐、じんましん、アナフィラキシー、けいれんなど
接種したワクチンが生ワクチンの場合、軽い感染症状が出現することがあります。
ワクチンの種類
0歳のワクチン | ・Hibワクチン ・小児用肺炎球菌ワクチン ・B型肝炎ワクチン ・ロタウイルスワクチン ・4種混合ワクチン、3種混合ワクチン、2種混合ワクチン ・BCG |
1歳のワクチン | ・MRワクチン ・水痘ワクチン ・おたふくかぜワクチン |
3歳のワクチン | ・日本脳炎ワクチン |
ワクチンには、定期接種と任意接種があり、定期接種は公費で受けられますが、任意接種は自己負担で接種することになります。この中で任意接種のワクチンは、3種混合ワクチン、おたふくかぜワクチンです。任意接種と呼ばれているワクチンの病気も、アメリカでは定期接種になっている位で重症化する病気には変わりありません。そのため、任意接種のワクチンも接種することを推奨します。
もしもワクチンを接種して体調が悪くなった際は、救済制度があるため、お住まいの市町村にお問い合わせください。
ワクチンのスケジュールの立て方
先ほど述べたように、ワクチンの種類は豊富でスケジュールをしっかり立てないと、推奨された時期に接種することができないということになりかねません。ここでは、ワクチンのスケジュールの立て方について解説していきます。
重症化しやすい病気のワクチンを優先接種する
ワクチンを接種する病気は悪化しやすいことで知られていますが、中でも麻疹(はしか)は重症化しやすい病気で有名です。対象のMRワクチンは1歳を過ぎたらすぐに接種しましょう。その他のワクチンも、接種を推奨する期間が決まっています。期間内に接種ができるよう、うまくスケジュールを組みましょう。
同時接種を上手く取り入れる
乳幼児期に接種することが推奨されているワクチンは、全部で15種類以上あります。そのため、一度に何種類かのワクチンを同時に接種することでうまくスケジュールを立てることができます。生ワクチンと生ワクチン、生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせも出来ますので、かかりつけ医に相談しながら同時接種するワクチンを決めていきましょう。
予防接種はかかりつけ医で受けましょう
かかりつけ医を決めたら、予防接種のスケジュールを決めましょう。一緒に考えてくれるので、心強い味方です。また、普段のお子さんの様子を知ってくれていれば、副反応が出現した場合も早く変化に気づく事もできます。そのため、かかりつけ医は早い段階で決めておいた方がいいと言えるでしょう。
参考文献:
田辺三菱製薬 ワクチンネット.「予防接種とワクチンの役割」.https://www.wakuchin.net/about/role.html,
(参考2023.3.3)
阪大美研のやわらかサイエンス 感染症と免疫のQ&A.「ワクチンの副反応はどうして起こるの?」https://biken.yawaraka-science.com/qa/detail/133,(参考2023.3.3)