葵区上足洗・駿河区豊田の企業主導型保育園

【窒息】保育園看護師が解説する子どもの事故

保育園看護師の朝比奈です。新年を迎え、皆さまお餅を食べる機会が普段よりも増えると思います。お餅は毎年、食べる力が衰えてきた高齢者が口にしたことで窒息に繋がってしまうニュースが流れており、嚥下機能が未発達な子ども達も例外とは言えません。

また、2月には節分が待っています。節分といえば豆まきですが、豆類は子どもたちにとって危険な食べ物です。豆類を食べると、豆そのものやその破片が気管内に入ってしまい、誤嚥や窒息に繋がってしまうことがあるからです。

身近な食べ物が思わぬ事故を引き起こすことは、残念ながら時々見受けられます。今回は、そんな事故が起きた時の対応方法や予防対策について解説していきたいと思います。

目次

窒息とは

呼吸困難の男性のイラスト

人が身体に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することを呼吸といいます。窒息は、この呼吸が上手くできなくなったことで血中酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇して、脳などの臓器に機能障害を起こした状態を指します。

呼吸ができなくなると、脳や心臓などすべての臓器が活動を停止させてしまうため、何もしなければそのまま死に至ってしまいます。窒息時は、呼吸が再開するように迅速な処置を行うことが求められます。

嚥下機能が未発達な乳幼児は窒息を起こしやすく、特にピーナッツや豆類、アメ、ブドウなどは、窒息を起こすことで知られています。

なぜ子どもは窒息を起こしやすいのか

食事をする女性のイラスト

嚥下機能が未発達

生後5~6か月頃離乳食を飲み込みます。噛むことはできません。
生後7~8か月頃舌でつぶせる固さの物が食べられます。
生後9~11か月頃歯ぐきでつぶせる固さの物が食べられます。
1歳~1歳半前歯で噛み切って歯ぐきでつぶせる固さの物が食べられるようになります。
1歳半以降前歯が生えそろい、奥歯も生え、盛んに食べるようになります。
3歳頃乳歯は生えそろいますが、噛む力は大人と比べて弱く、5/1程度の力です。

・月齢と子どもの様子にあった食事を提供しましょう
・固いものは、丸のみしてしまい窒息する可能性があるので与えないようにしましょう

食事の際の行動が原因
窒息に繋がる原因として、喋りながら食べたり、食べ物を口の中にいれたまま走ったりするなどの行動があります。食事をする際の子どもの行動には気をつけておきたいです。

・誤って気管支に入りやすいピーナッツなどの豆類は、4歳頃までは食べさせない。
・水分で喉を潤した状態で食事をする。また、適宜水分をとりながら食事をする。
・加工食品は、表示されている月齢のみを参考にするのではなく、子どもの様子を見て食べさせる。
・仰向けに寝た状態、歩きながら、遊びながらものを食べさせない。
・食べ物を口に入れたままの会話、テレビを見ながらの食事はさせない。
・食事中に乳幼児をびっくりさせるようなことはしない。
・乳幼児に食べる事を無理強いしない。

窒息しやすい食品とは

食品を連想する男女のイラスト

1、表面がつるんとしているもの
ブドウ、プチトマト、丸いアメ、ピーナッツなどが挙げられます。口の中に維持することができず、窒息に繋がります。

2、粘着性があり、水分を含みやすいもの
パン、餅、イモ類などが挙げられます。よく噛まずに口の中に詰め込んでしまうと、窒息に繋がります。

3、固く嚙み切りにくいもの
キノコ類、リンゴ、肉などが挙げられます。上手く嚙み切って大きさを調整することができず、飲み込むことで窒息します。

いずれも小さく切ったり、一口量を守って食べさせることが大切です。食事を準備する際は気を付けてください。

窒息してしまった際の対処法

チョークサインを示す女性

窒息がもし起きてしまった場合、最初の症状は「咳き込み」から始まりますが、窒息の症状は様々です。

・のどの辺りを両手でかきむしるような動作をする
・呼吸や話す声が弱まり、止まる
・甲高い音やあえぐような音を出す
・顔や唇の色が真っ青になる
・けいれん発作を起こす

窒息状態になると、数分で心停止の状態となり、全身にダメージが加わっていきます。そのため、窒息時はすぐに緊急時の対応を行いましょう。

窒息時の対応

1歳未満の乳児救助者が膝を曲げ、膝の上にうつ伏せに子どもを乗せる。その体勢で肩甲骨の間を5回強く叩き、詰まった食品を吐き出させる。(背部叩打法)
1歳以上の小児子どもの背中側から抱きしめる様に救助者が手を回し、みぞおちと臍の間の所を斜め上に向かって突き上げることで、詰まっていた食品を吐き出させる。(ハイムリッヒ法)

窒息が解除できず、子どもの反応がなくなったら、心停止したとみなし蘇生処置を行って下さい。

参考文献:日本小児科学会 「食品による窒息 子どもを守るためにできること」 https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123(参照2023.1.11)

この記事を書いた人

静岡市出身。子ども病院での勤務中に、子どもに対して予防的な関わりを行いたいと思ったこと、また有事の際に、小児集中治療科勤務の経験を子ども達のために発揮したいと思ったことが保育園勤務を志したきっかけ。子ども達の笑顔に毎日癒されている。

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