保育園看護師の朝比奈です。カラッと晴れる日も増えてきて、本格的な夏が始まりました。暑いのが苦手な私は家でクーラーを手放すことができません。みなさんも熱中症には特に注意し、気温の調整や水分補給を十分に行って下さい。
さて、今回はRSウイルス感染症について触れていきたいと思います。かつてRSウイルスは9月頃から1月頃の冬の季節に流行する疾患でしたが、今では夏にも流行する病気となってきています。最近でも、静岡県でRSウイルスの流行が見られており、感染に注意が必要な病気です。今回は、RSウイルス感染症や罹患時のケアについて紹介します。
RSウイルス感染症の基礎知識
症状
発熱、鼻水などの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、咳がひどくなる、「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴を伴った呼吸困難が出るなどの症状が出現した場合は、細気管支炎、肺炎へと進展することがあります。
感染経路
飛沫感染 RSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、又は会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことで感染します 。接触感染 感染している人との直接の濃厚接触や、ウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、机、椅子、おもちゃ等)を触り、それをなめたり目を触ったりすることによる間接的な接触で感染します。
RSウイルス感染症は重症化しやすいってほんと?
新生児や乳用児は重症化しやすい
多くは軽症ですみますが、初めて感染・発症した場合は重くなりやすく、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は悪化しやすいです。喘鳴、息を吸い込む時に胸のあたりが凹む陥没(かんぼつ)呼吸、鼻やくちびるなどが青黒くなる症状(チアノーゼ)、また細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こし、入院が必要になることもあります。 生後1ヶ月未満児の場合は、突然死に繋がる無呼吸発作を招くこともあります。
RSウイルス重症化のリスク因子
次のような状態・疾患のあるお子さんは重症化しやすいので注意が必要です。
- 生後6か月未満の赤ちゃん
- 早産・低出生体重の赤ちゃん
- 先天性心疾患
- 慢性肺疾患
- ダウン症
- 神経・筋疾患あるいは免疫不全症を有するお子さん
こんな時は病院に行きましょう
- 呼吸をする時、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする
- 顔色や唇、爪の色が悪い
- 胸やお腹がへこむような呼吸をする
- 呼吸の回数が極端に増えている
RS感染症罹患時のケア方法
食事、飲み物は飲めるものを
RS感染症に罹患すると、発熱や呼吸器症状が出現してきます。そのため、だるさや息苦しさから食事を取りにくい状態になることがあります。無理せず、食べられそうな食材(お粥、麺類など)を食べさせてあげましょう。普段通りの食事が取れればそれで構いません。飲み物はこまめに飲ませてあげると喉が潤い、咳の緩和に繋がります。適宜飲ませてあげましょう。
体の向きで呼吸が楽になる?!
呼吸が苦しそうな時や痰が多そうな時は、体を少し起こしてあげると楽になる事があります。また、体が上を向いていると痰が上手く出せず、咳が続いてしまう事があります。そのような場合には、体を横向きにしたり、一度体をしっかり起こして痰を出せるように援助してあげると良いでしょう。
RSウイルス感染症はどうやって感染を防げばいいの?
手洗い、うがいが基本
今や当たり前となった手洗い、うがいはRSウイルスにも有効です。手洗い以外にも、消毒用アルコールを手指に擦り込むこ
とも有効なので、ぜひ積極的に行っていきましょう。飛沫感染を防ぐ為には、マスクが特に有効です。しかし、2歳以下の
お子さんはマスク着用により窒息のリスクが高まりますので、マスク着用は控えましょう。
環境周囲の消毒
小さなお子さんは、色々な物をなめたり、触ったりします。するとお互いに菌に感染するリスクも必然的に高くなります。接触感染予防として、お子さんが普段触る場所やおもちゃをアルコールか次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)を使用して消毒しましょう。
保育園の登園の目安は?
明確な目安はありません!
保育所に入所しているお子さんがよくかかる感染症(溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、手足口病、伝染性紅斑、ウイルス性胃腸炎、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症、帯状疱疹、突発性発しん)には、登園の目安があります。RSウイルス感染症は、「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」が登園のめやすとされています。以上を参考に、かかりつけの医師の診断に従い、保育園に登園届けの提出をお願いします。
RSウイルス感染症について正しい知識を身につけよう
RSウイルス感染症は、軽症で済めばなんてことはない風邪ですが、重症化すると入院が必要になったり、突然死の原因となる無呼吸発作が出現したりと少し怖い病気です。私も、以前勤務していた小児専門の病院勤務の時には、RSウイルス感染症のお子さんを見る時はドキドキしながら見ていました。予防のためには手洗いうがいや、周囲環境の消毒が有効なので、是非積極的に行って下さい。もしかかってしまった際も、受診の目安やケア方法の欄を参考にしていただけると幸いです。それではみなさん、病原菌に負けず、お体に気をつけてお過ごしください!