管理栄養士の山内です。雨の多い季節になりましたが、ぺんぎん保育園の子どもたちは、外遊びに行けない日でも、室内で音楽に合わせて体操をしたりボールプールをしたり、先生に好きな絵本を読んでもらったりと楽しく過ごしています。
さて、毎年6月は食育月間です。食育とは、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることです。ぺんぎん保育園では、栽培活動や食べ物に関する絵本などから食への興味につながるような取り組みをしています。
今回は、ご家庭で親子で取り組む食育として、子どもと作るおやつの紹介をします。手作りおやつはいつもより愛情もたっぷりで子どもも喜ぶでしょう。ただ、おやつは求められた分だけ与えていいわけではありません。与え方によっては、虫歯や肥満、その後の食事に影響することにつながってしまうからです。そこで、子どものおやつの考え方や与え方のポイントをおさえながら、簡単に手作りできるおやつを紹介します。
おやつの考え方
- 栄養補給のため
- 食育のため
- 子どもの気分転換のため
子どもの成長のためには十分な栄養が必要ですが、まだ消化機能が未熟なため、一度に必要な量を食べることができなかったり、気分によって食べる量が変わったりすることも少なくありません。そこで、1日3回の食事だけでは摂取できなかった必要な栄養量をおやつで補給するのです。
また、おやつは食育にもなります。一緒に作るとどのような食材を使っているのかを知ることができ、そこから食に対する興味や関心がわき、食べてみよう・作ってみようという気持ちに繋がっていきます。おやつは楽しい時間という認識ができると、お手伝いをしたり食べる前に手洗いをしたりという食事のマナーを身につけることも期待できます。
さらに、おやつは空腹を満たすだけではなく気分的にもリフレッシュできる効果があります。美味しいものを食べて幸せな気持ちになるのは、大人も子どもも同じです。家族と一緒に楽しい時間を過ごすためにも、できるだけ1人で食べさせるのではなく、一緒におやつを楽しむことをおすすめします。
子どもにおやつを与えるときのポイント
おやつは子どもにとって必要なものですが、好きなものを好きなだけ与えていたら虫歯や肥満などさまざまな影響をもたらします。ポイントをおさえて、おやつを与えましょう。
- おやつの量に気をつける
- 時間を決めてだらだら食べない
- 飲み物と一緒に食べる
おやつの食べ過ぎでご飯を食べられなかったら本末転倒です。これでは、栄養補給のためにおやつを食べていても、1日に必要な栄養素が摂り切れない可能性があります。おやつはあくまでも補助的な役割だということを忘れないようにしましょう。
また、時間を決めて食生活のリズムを整えましょう。だらだら食いは虫歯の原因にもなります。特に小さな子どもには、ぐずった時におやつを与えて機嫌をとってしまうことがあるかもしれません。もちろん、これが続くと食生活のリズムが乱れてしまいます。決められた時間以外は与えないように気をつけたいところです。例えば、午前中に軽めのおせんべいやクラッカー、少量のフルーツなどを1回、午後に1回など子どもの成長に合わせておやつの時間を決めるといいです。1回のおやつの時間は20~30分までにして、だらだら食べないこともポイントです。
おやつを食べる時は飲み物と一緒に与えましょう。子どもは体温が上がりやすいうえ、汗をかきやすいので、沢山の水分を必要とします。こまめに水分を摂らなければなりません。そのため、おやつと一緒にお茶や牛乳・野菜ジュースなどを飲んで水分補給することが大切です。ただし、甘いジュースは虫歯や肥満などのリスクを高めるので控えた方が良さそうです。甘いジュースを飲む場合は、おやつは甘いもの以外を組み合わせるのがおすすめです。
簡単手作りおやつ
手作りおやつのメリットは子どもに合ったおやつを作れるという点です。例えば、子どものアレルギーを考慮したおやつや野菜不足なら野菜を使ったおやつ、塩分や砂糖控えめのおやつなどを与えることができます。市販のおやつと違い、使う材料もわかっているので子どもに安心して与えることができます。ただ、はちみつやはちみつ入りの飲料は加熱していても乳幼児ボツリヌス症にかかるリスクがある食品なので、1歳未満には与えないようにしてください。
◎ホットケーキ
ホットケーキミックスなら小麦粉、砂糖、食塩、ベーキングパウダーなどがあらかじめ入っています。卵を割ったり、材料を混ぜたり、焼いたりと子どもの成長に合わせてお手伝いしてもらうのにもぴったりなおやつです。卵アレルギーの子には卵を使わず生地にココアやきな粉を混ぜてもいいですし、フルーツをトッピングするのも楽しいでしょう。ホットケーキミックスを使うと、蒸しパンやドーナツやスコーンなど他のおやつも作れます。
◎クッキー
クッキーもホットケーキミックスを使えば簡単に作れます。子どもと一緒に型抜きしたり、トッピングをしたりといった作業を楽しめます。レーズンや蒸してつぶしたかぼちゃなどを生地に混ぜれば栄養価もアップします。
◎ゼリー
ゼラチンや寒天で簡単に手作りできます。子どもが好きなフルーツを入れると喜ぶでしょう。寒天と牛乳でカルシウムたっぷりのミルク寒天もおすすめです。
◎おにぎり
おにぎりはお腹にたまるので補食にぴったりです。しらすやほぐした鮭、チーズ、コーン、ひじきなどを混ぜ込んで栄養満点おにぎりを作りましょう。子どもに合わせて入れる食材を変えたり、食べやすい大きさに調整しましょう。
◎茶巾(ちゃきん)
さつまいもやかぼちゃの茶巾は、優しい甘さが人気のおやつです。レンジで温めたさつまいもやかぼちゃを、なめらかになるまでつぶしてラップなどで食べやすいサイズにまとめるだけなので簡単に作れます。つぶす工程やラップでまとめる工程は子どもにお手伝いしてもらいましょう。お好みで砂糖やバター、りんごなどを混ぜてもおいしいです。
まとめ
手作りおやつであれば、子どもの成長に合わせたものやアレルギー対応のものを与えることができて安心です。市販のおやつを与える場合は、無添加、砂糖や塩分控えめなもの、栄養素にこだわったものを選ぶのがおすすめです。おやつの時間は、子どもにとって至福の時間です。天気が悪く、外で遊べない日には、おやつ作りで子どもと一緒に楽しい時間を過ごすのも良いでしょう。