こんにちは、看護師の望月です。寒暖差の大きい季節は、保育園でも胃腸炎の症状が見られるお子さんが増える時期です。「朝は元気だったのに、急に嘔吐した」「下痢が続いている」など、保護者の方が不安になることも多いでしょう。今回は、胃腸炎の原因や家庭でのケア、予防・対策についてご紹介します。
胃腸炎の原因と感染経路

乳幼児の胃腸炎の多くはウイルスが原因で、冬はノロウイルスやロタウイルス、夏は細菌性のものが増えます。手指やおもちゃ、食べ物を通じて感染が広がるため、手洗いや清潔な環境づくりがとても大切です。免疫の未熟な子どもは感染しやすく、集団生活では特に注意が必要です。
主な症状

症状には、嘔吐・下痢・発熱などがあります。嘔吐後はしばらく胃が敏感になっているため、無理に食べさせず、水分を少しずつ与えましょう。麦茶や経口補水液などを少量ずつこまめに摂取するのがポイントです。唇の乾きや尿の減少など、脱水症状が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。
家庭での対応

ウイルス性胃腸炎には特効薬がないため、体の免疫がウイルスを退治してくれるのを待つことが大切です。水分補給と十分な休息で、少しずつ回復していきます。
一般に嘔吐は半日程度で収まることがほとんどですが、嘔吐した直後にたくさん水分をとったり、固形物をとったりしてしまうと、またすぐに吐いてしまうことがあります。嘔吐してしまった場合には、30分から1時間程度は何も口にせず、落ち着いたら少量ずつ飲水し、飲めるようであれば時間を空けて少しずつ飲水量を増やしていきましょう。
水やお茶だけでは、塩分や糖分のバランスが崩れてしまうことがあります。そのため、水分補給には市販の経口補水液を利用するのが望ましいです。
ただし、味が苦手でなかなか飲めない場合には、スポーツ飲料で代用することもできます。効果は少し劣りますが、脱水を防ぐうえで大切な水分源になります。
感染予防

吐物や便には多量のウイルスが含まれるため、予防の基本は「手洗い」と「消毒」です。帰宅後や食事の前には、石けんを使って丁寧に手を洗いましょう。タオルの共有は避け、それぞれ専用のものを使用すると安心です。
園では、嘔吐時の処理やおもちゃの消毒に次亜塩素酸ナトリウムを使用し、感染拡大の防止に努めています。ご家庭でも、使用後のおまるやトイレの清掃・消毒を心がけ、清潔な環境を保つことが大切です。
まとめ
胃腸炎は多くのお子さんが経験する感染症ですが、正しいケアと予防で重症化を防ぐことができます。園でも感染対策を継続しながら、安心して過ごせる環境づくりに努めています。ご家庭でも、手洗いと休養を大切に、元気な毎日を送りましょう。