保育園看護師の朝比奈です。 夏の暑さも和らぎ、過ごしやすい時間帯が増えてきました。クーラーが無くても過ごせるような気温になってきて、夏より冬派の私としては嬉しい限りです。今回は手足口病について触れていきたいと思います。手足口病は夏に流行する病気として知られていますが、今年は特に猛威を振るっており、各都道府県が流行警告を出しています。 手足口病がどのような病気なのか、この記事を通して知っていただけると幸いです。また、今回も保育園の登園基準についても触れていきますので、参考になればと思います。
手足口病ってどんな病気?
原因
様々なウイルスが原因となり発症します。
・コクサッキーウイルスA16
・エンテロウイルス71 など
そのため、一度かかっても何度も繰り返しかかる可能性のある病気で、潜伏期間は3~5日間です。
症状
<発疹>
・口の中の粘膜や手のひら、足の裏、足の甲などにできます
・かさぶたにならずに治る場合が多く、1週間程度で消失します
・口の中にもできやすく、口の中でつぶれて口内炎になります
(そのため食事や水分を受けつけにくくなる→脱水症状のリスクに繋がる)
<発熱>
・1〜3日間発熱することがあります(高熱にはなりにくい)
その他、まれに脳炎を伴って重症化することもあるので注意が必要です。
感染経路
飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つの経路があります。
<飛沫感染>
・ウイルスや細菌が咳やくしゃみで細かい唾液や気道分泌物につつまれて空気中に飛び出す
・約1mの範囲で人に感染します
<接触感染>
・皮膚や粘膜の直接的な接触、人の手、手すりやタオルなどの物体と接触することで感染します
<糞口感染>
・ウイルスや細菌に汚染された食べ物を、生または十分に加熱しないで食べた場合に感染します
・感染した人が調理中に食品や水を汚染し、その汚染食品を食べたり飲んだりした場合も感染します
・糞便が手指を介して経口摂取される場合を糞口感染といいます
治療方法
手足口病はウイルス感染症であるため、特別な治療方法はありません。基本的に症状が軽度である疾患であるため、経過観察および症状に応じた対応となります。具体的な対応とは、口内炎に対する鎮痛剤の処方や経口摂取不良からくる脱水症状に対する点滴などです。軽症でも、手足口病は重症化する可能性がある疾患です。本人の様子観察の際、高熱が出る、嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えないなどの症状がある際は、病院にかかって下さい。
手足口病の子どもの食事は?
口腔内に口内炎ができ、痛みが強い場合は食事や水分が取りにくくなってしまいます。そのため、口の中を刺激する食事はとらないようにするのが工夫として挙げられます。例えば、トマトやみかんなどの酸味のあるもの、熱いもの、固いものは避ける様にしましょう。柔らかく、刺激の少ないゼリーやプリン、麺類、お粥などの食べ物にしましょう。
飲水についても、一工夫が出来ると思います。まずは飲み物の種類を制限せず、子どもが好む飲めそうなものをあげてみてください。例えば、お茶、お水、ポカリスエット、OS1、ジュースなどです。オレンジジュースは柑橘系で、刺激がある飲み物ですので避けましょう。飲み方の工夫は、コップから直接飲むのが難しい場合は、ストローやスポイトを使用してあげると飲めることがあります。ぜひ試してみて下さい。
保護者の方の感染予防のため出来ること
手足口病は、大人もかかりうる病気であることをご存知でしょうか。もし子どもが手足口病にかかってしまった場合、看病をする保護者の方にうつってしまっては大変です。ここでは手足口病の予防について触れていきます。
手足口病にはアルコールは効きません!
手足口病の原因ウイルスは、ノンエンベロープウイルスと言ってアルコールが効きにくい特性を持っています。その為、流水と石鹸を使った手洗いが感染予防の基本となります。積極的に手洗いを実施しましょう。
マスクを着用しましょう
手足口病は飛沫感染をします。そのためマスクを着用し、飛沫感染予防を図るのは非常に有効的です。手足口病の子どもと関わる際は特に、マスク着用をしっかりと行いましょう。
便の取り扱いに注意!
手足口病のウイルスは便中に排泄されますが、その期間は1か月程度といわれています。そのため、便が付いたオムツの取扱いは特に注意しなければなりません。オムツを扱う時、使い捨てのプラスチックやゴム製の手袋を使ったりするのも有効です。トイレで排泄が出来る子どもの場合、排便があった後はトイレを消毒することが有効でしょう。
保育園に登園できる目安は?
手足口病には、登園となる目安はありますが、インフルエンザのような明確な基準はありません。発症しても軽微な症状と経過をたどることが多いことが理由とされています。以下の2つを満たしていれば、登園しても良いでしょう。
・食事が普段と同じくらい食べられていること
・発熱がないこと