こんにちは、アクタガワの理学療法士、鈴木三恵です。
ぺんぎん保育園には、月2回ほど運動遊びのアドバイザーとして勤務しています。 今回は、「遊びの捉え方」について解説していきます。
子供にとっての「遊び」は心身の成長には欠かせません。年齢や脳の発達に合わせてさまざまな遊びを取り入れることで、粗大運動、微細運動、社会性(生活習慣を含む)、言語領域の能力が伸びていきます。
単なる遊びと捉えるのではなく、「今この遊びを通してどんな力を使っているのか?」という視点を持って見ていくと、子供の成長を多面的に捉えることができようになります。
①遊びから考える視点
例えば、「積み木遊び」をしている子供を見た時、あなたはどう考えますか?
「集中して遊んでいるな」「かわいいな」「一生懸命だな」
という素直な感想も勿論あると思います。でももう一歩、子供の成長に踏み込みたい!という方は、是非こんな風に考えてみて下さい。
▶積み木遊びを通してどんな力を使っているのか?
①積み木を掴む、握るといった手や指の力
②積み木を立体物として捉える空間認知力
③積み木を積んだり、並べたりして自分の思った形を作る創造力
これ以外にも、実は様々な能力を遊びの中では使っています。
こうした視点で子供の遊びを見ることができると、どんな良いことがあるのでしょうか?
一つは子供の成長を、より具体的に捉えることができることです。細かく見ることで、どんな力が育っているのかが分かり、次の遊びを提案したり、チャレンジするためのヒントになることも多くあります。
もう一つは、褒めるチャンスが大幅に増えるということです。「一人で遊べてえらいね」「積み木で遊べてすごいね」だけでなく、「積み木を持って落とさずに積める手の力があるね」「同じ形を判別して並べる力があるね」など、もっと細かく子供たちの力を認めて褒めてあげることができます。
②獲得したい動作・能力から考える
「この動作を獲得したい」「これができるようになりたい」と考えた時、その動きや目標そのものにいきなりチャレンジしても、中々難しくてできないということは多くあります。中には経験から学習してすぐに獲得できる子もいるかもしれませんが、そうではない場合、もっと細かく見ていく視点があります。
【例:両足でジャンプができるようになりたい!】
- 両足でジャンプという動作を分解するとどんな動きに分けられるでしょうか?
⇒開始姿勢:足を揃えて立つ
準備動作:両膝を一緒に曲げて沈み込む
主な動作:両膝を伸ばすタイミングで床を蹴り、飛び上がる
着地動作:膝を曲げて両足で着地し、踏みとどまる
- 各動きのどこでつまづいているのでしょうか?
⇒準備動作が不十分。しっかり膝を曲げて沈み込めていない。
主な動作で飛び上がるタイミングが合っていない。
着地動作で両足を同時に着けて動きを止めることができていない。
- 難しい部分と類似あるいは少し難易度の低い動きや力を使う遊びは何でしょうか?
⇒両足で沈み込む動作…リズム体操の屈伸運動
飛び上がる動作………手つなぎジャンプ、動物ごっこ(カエルやウサギ)、トランポリン等
両足接地と静止………足でグーパー、ボールの上に座ってゆらゆらゲーム等
このように、動作を細分化して考えると、どんな遊びを取り入れたらいいのかが見えてきます。
楽しく成長していこう!
今回は子供の「遊び」を捉える視点について解説してきました。でも、一番はやはり「楽しむこと」!
子供は楽しいと思えないものは続きません。逆に楽しいと感じたことは何度でも繰り返します。繰り返すことで経験を積み、学習が進んでいきます。
実は子供は少なくとも「13回繰り返さないと覚えない」とも言われているので、楽しまないと損ですよね。獲得したい運動や能力があった場合、こうした視点で考えた様々な遊びを、是非親子で楽しみながら取り組んでみて下さい。