保育園看護師の朝比奈です。朝晩の日の落ちた時間も長くなり、寒さもどんどん強まってきました。今年は新型コロナウイルスと同時にインフルエンザが流行すると言われており、継続して感染対策を行わなければならない毎日が続きそうだなと感じるこの頃です。そんな中、今現在季節外れの感染症が流行しています。それは3~6月に流行する「ヒトメタニューモウイルス感染症」です。聞いたことがない、と言う方も多いのではないでしょうか。今回は「ヒトメタニューモウイルス感染症」について解説していきます。
ヒトメタニューモウイルスとは
ヒトメタニューモウイルスは、2001年に発見された比較的新しいウイルスです。耳馴染みがない方もいらっしゃるでしょうが、大半の人がかかる風邪の一部に含まれる感染症で、気管支炎や肺炎を起こします。RSウイルスに良く似ていることも特徴の1つです。ここでは、ヒトメタニューモウイルスの特徴について説明していきます。
流行時期
ヒトメタニューモウイルスは年中発症しうる感染症ですが、毎年春先の3月頃から6月頃までの流行が多いとされています。
感染経路
・飛沫感染・・咳やくしゃみ等で飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します
・接触感染・・ウイルスを含んだ飛沫や鼻水の付いたタオルやおもちゃを介して感染します
潜伏期間
4~6日間
症状
咳・・一週間程度続きます
熱・・4~5日程度続きます
鼻水
喘鳴・・ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸が出現します
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療
ヒトメタニューモウイルス感染症はその名の通り、ウイルス感染症なので確立された治療方法はありません。現れた症状に対し、対症療法を行うのが治療の基本となります。例えば、熱があったら解熱剤の処方があったり、咳が出ていたら咳止めの薬が処方される、などが挙げられます。喘息のような症状がひどかった場合、吸入薬の処方もあるかもしれません。水分をしっかりと取り、安静にして過ごしましょう。
細菌の同時感染に注意
発熱が長く続く場合、細菌感染を併発しているかもしれません。一般的には、4日以上発熱が続くと細菌感染の可能性があると言われています。肺が細菌感染を起こすと肺炎に、耳の中が感染を起こすと中耳炎を引き起こし、抗菌薬治療が必要となります。発熱が長引く場合は一度病院を受診しましょう。
身近でできる感染予防
アルコールがよく効きます
ヒトメタニューモウイルスには、石鹸を使った手洗いはもちろんのこと、アルコールがよく効きます。コロナウイルス対策のひとつとして行われていることですので、引き続きアルコールを使用した手指消毒は継続して下さい。
マスクの着用が有効です
まず、飛沫感染に対する対策としては、マスク着用が有効と言えるでしょう。ヒトメタニューモウイルス感染症の人の咳やくしゃみなどの飛沫を吸入しないよう、マスク着用を引き続きおすすめします。接触感染予防に対する対策としては、タオルなど共用しやすいものの使用を避けること、周囲環境の消毒が効果的です。お子さまが使用しやすいおもちゃやよく触る場所などは、特に留意して消毒すると良いでしょう。
感染中のケアで必要なことは?
お粥やゼリーなどの喉越しの良いものを準備しましょう
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、高熱が出ることが多く、それに伴い食欲が落ちてしまうことが考えられます。消化の良いお粥や、喉越しの良いゼリーなど、お子様の食べやすそうな食べ物を準備してあげてください。
水分摂取はこまめに行いましょう
ヒトメタニューモウイルスは気道感染を起こす感染症です。気道内のウイルスを排泄するためには、痰を出すことが重要ですが、痰を出すためには水分摂取が必要になってきます。理由としては、身体が水分で満たされた状態だと、排出される痰も水分を含む量が多くなり、体の外に出しやすくなるためです。また発熱すると体から蒸発する水分量も自然と増えるので、感染している際はこまめな水分摂取を行いましょう。
保育園の登園基準は?
明確な基準はありません
インフルエンザのように厚生労働省による明確な基準設定はありません。 日本小児科学会は学校・保育施設における感染予防のガイドラインで「咳などの症状が安定した後、全身状態の良い者は登園可能であるが、手洗いを励行する」と言う内容を登園基準として記載していますので、参考にしてください。
登園基準は園によって異なります
日本小児科学会の記載はありますが、保育園ごとの規定にはバラつきがあると思います。そのため、 通っている保育園に登園基準を確認して登園するようにしましょう。