保育園看護師の朝比奈です。暖かかった秋も過ぎ、急に寒さが感じられるようになってきました。イベントも多いこれからの季節、体調を整えて温かく楽しい時間を過ごしたいですね。今回は睡眠についてお話しさせていただきます。日本の子どもたちが、世界的に見ても睡眠時間が短いのをご存知ですか?それも世界で一番夜更かしする国として知られています。しかし、睡眠には沢山の大切な役割があるので、十分な睡眠時間を確保してほしいのが本音です。子どもの睡眠時間は午睡の時間も含めて確保されるべきものであり、大人が寝る時間や習慣を守ってあげることが大切です。
睡眠の役割
1.体内時計を整える
人間には概日リズムと呼ばれる周期性のリズムがあり、それに合わせてメラトニンや成長ホルモンなどのホルモンが分泌されています。なかでもメラトニンは夜に分泌され、覚醒してから14~16時間程で分泌されるホルモンで、メラトニンが分泌されると人間は眠気を感じるようになります。メラトニンには睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの概日リズムの調整作用があります。
2.頭と身体の休息
睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠の二種類に分かれています。ノンレム睡眠の際には脳を休め、レム睡眠の際には身体を休める特徴があります。
3.成長ホルモンの分泌
成長ホルモンの分泌は、子どもの心身の成長に欠かせないものです。成長ホルモンは、ノンレム睡眠の際に分泌されることで知られています。成長ホルモンの働きは、①免疫力を強化する(新陳代謝を高め、傷ついた細胞を修復する)、②筋肉を増やす、③骨を形成する役割があります。
必要な睡眠時間
子どもが健やかに成長するには、睡眠時間を確保することが不可欠です。ここで各年齢の必要な睡眠時間について解説していきます。
午睡時間を含めた年齢別必要睡眠時間
・4〜11ヶ月児:12〜15時間
・1〜2歳児:11〜14時間
・3〜5歳児:10〜13時間
午睡の必要性について
午睡は本当に必要なのか?これは保育士や保護者の中でしばしば見受けられる疑問です。理由としては、保育園でのお昼寝が就寝時間の後退に繋がっているのではないか、という主張があるからです。2011年に「日本家政学会誌」に掲載された論文を皮切りに、「睡眠で大切なのはトータルの睡眠時間ではなく、夜いかに適切に睡眠をとるかであるため、3歳児以上はお昼寝を取りやめてはどうか」という提言がなされているのです。
多くの保育園で行われているであろう午睡ですが、その必要性はどうなっているのでしょうか。午睡のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
メリット
①ぐずりを取り気持ちが安定する
②注意力低下を予防し事故が防げる
③夜の睡眠不足を午睡で補える
デメリット
①寝すぎると生活リズムが崩れる
②無理に寝ることで精神的なストレスを感じる
午睡の大切なポイント
午睡にはメリット、デメリットがあることが分かりました。では、午睡の大切なポイントとは何でしょうか。それは、ご家庭での睡眠時間や睡眠の質を知る事が必要であることです。ご家庭や保育園での睡眠の状態を保育士、保護者が連携して把握することで、保育園での午睡の取り方を考えることが出来ます。一人ひとりの状態に合った睡眠が取れると理想的です。
ぺんぎん保育園での午睡の様子
ぺんぎん保育園では、保護者が記録した連絡帳アプリ内の睡眠時間の記録やフリーコメントと、登園時に直接保護者への聞き取りを行う中で、ご家庭での睡眠状況や体調の確認しています。園の1日のスケジュールにて午睡の時間は決まっていますが、園児の状況に合わせて入眠時や起床時の対応方法を変更するなど、少しでも気持ちよく午睡時間を過ごせるように配慮しています。0歳児クラスの場合は、同じクラスであっても園児の月齢により午睡リズムが異なります。ぺんぎん保育園では一人ひとりに寄り添う保育を大切にし、園児に合わせた午前睡を取り入れるようにしています。
また午睡中は常時看護師がそばにつき、園児の顔色や呼吸、体の向きの確認を行っています。必要に応じて脈拍数の確認を行うなど、日頃から園児と共に過ごす看護師だからこそ気が付ける小さな変化もキャッチし、園児の健やかな成長のサポートをさせていただいています。