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おうちで取り組む食育 ~共食のすすめ~

管理栄養士の山内です。日が暮れるのが早くなり、いよいよ冬本番となりました。クリスマスや年末年始など親子で過ごす楽しいイベントが多い時期ですね。

親子で一緒に過ごす時間は食育実践の良い機会でもあります。成長期の子どもに対する食育は、子ども達が一生涯にわたって健やかに生きていくことができるよう、その基礎をつくるために行われるものです。子どもの頃に身についた食習慣を大人になってから改めることはなかなか困難なことといわれているので、今の時期の食育は重要な取り組みだと考えられます。

一口に食育といっても様々な角度からの取り組みがあります。今回はご家庭でできる取り組みのうち、共食についてお話します。

目次

共食とは?

家族そろっていただきますの挨拶をする様子

共食とは読んで字のごとく誰かと共に食事をすることをいいますが、誰かと一緒に食行動を共有するというもう少し広い意味を持っています。

この“誰か”とは生活や社会活動を共にしている人のこと。年齢や生活スタイルなどによって“誰か”に当てはまるのはそれぞれだと思います。そして、“食行動”とは、一緒に食べるという行為だけでなく、食事を作ったり準備や片付けをしたりといった食べる前後の行為、一緒に食卓を囲みながら食事についての感想を話し合うといった情報交換をする行為まで含まれています。

つまり、共食とは、生活の中でつながりのある家族や友人、同僚、地域の人などと食に関することを分かち合うことをいいます。お子さんがいる家庭ではやはり親子で食行動を共有することが多いのではないでしょうか。反対に一人で食べることを孤(個)食といいますが、コミュニケーション不足や栄養バランスの偏りなどの観点から心配な行動だといわれています。

共食すると健康になれる?

三世代家族で食卓を囲む様子

共食が注目され、いくつかの研究データから共食のメリットが報告されているので紹介します。

共食が多い人や孤食が少ない人は、そうでない人と比較して

  • 朝の疲労感やからだの不調がなく、健康に関する自己評価が高い
  • 心の健康状態が良い
  • 野菜や果物など健康的な食品の摂取が多く、インスタント食品やファーストフード、清涼飲料水の摂取が少ない
  • 主食・主菜・副菜をそろえてバランスよく食べている
  • 食事や間食の時間が規則正しい
  • 起床時間や就寝時間が早く、朝食欠食が少ない
  • 睡眠時間が長い

共食する誰かのために献立を考えるようになるので栄養バランスが整うなどの望ましい食習慣が確立されることになります。また、コミュニケーションが豊かな心を育むことになりますし、はしの持ち方やあいさつなどの食事マナー、食べ物を大切にする心など様々なことが身につきます。 共食は身体も心も健康になれそうですね。

できることから始めましょう

母と子で食事をする様子

生活スタイルや家族スタイルの多様化により共食が難しい場合もあるかもしれません。そんな時はできる時にできることをするのがおすすめです。「夕食は何にする?」「これおいしいね」といった会話や、一緒に食材を買いに行くなどのコミュニケーションは取りやすいと思います。時間があれば一緒に料理を作り、食卓の準備をして片付けを手伝ってもらうのもいいですね。毎食は難しくても朝や休日など家族が揃う時間はみんなで食べることを意識しましょう。

近年の問題になっているのが、携帯電話等が食卓に持ち込まれ、共食の質に影響を与えていることです。ある調査では、食事の時に食卓の上またはそばに携帯電話を置いている家族の数は小学生で70%以上、中学生で74%以上という報告があり、最高は1卓に4台も置いてあったそうです。これは、親子で食卓という空間と時間は共有していても、それぞれの集中していることが違っているので、食事を味わって食べるという行為を共有しているとは限らないといえます。

せっかく空間と時間を共有できている貴重な機会なのにもったいないですよね。味わって食べる、準備をしてくれた人に心くばりをしてやりとりをする、食事の感想を言い合い、情報を交わし合うといった共食の質を大事にしたいですね。

この記事を書いた人

管理栄養士免許取得後、薬局や市の保健センターで健康相談、乳幼児健診フォロー、特定保健指導など担当し、赤ちゃんから高齢者まで幅広い世代に関わってきた。ぺんぎん保育園には2017年の開園時より勤務しており、日々安心で安全な給食を提供できるよう努めている。

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