子育て事業部・保育士の齋藤です。7月に入り各園で水遊びが始まりました。ダイナミックに水と触れ合う姿も見られれば、慎重にそっと触れる姿も見られ、一人ひとりのペースで水の感触を味わっています。
さて、前回のコラムでは、“主体性を育む保育”についてお話しましたが、今回は「環境」という部分に焦点を当て、お伝えしていきたいと思います。
環境の必要性と4つの環境
子どもの主体性を育む為には自由な空間と時間が必要になります。極端な例を挙げると…、スマホや遊ぶものなど何もない場所にポツンと1人でいたら、大人である皆さんも恐らく何をして良いか戸惑うと思います。かなりオーバーな話ですが、それだけ「環境」を整える事は大切です。では、適切な環境構成には、どのようなものがあるでしょうか。今回は4つの環境をお伝えします。
①人的環境
人的環境とは、“人”との関わりに関する部分です。保育園だと保育者をはじめとする全職員、ご家庭だと家族や兄弟になります。子どもが安心して自らを表現する為には、人との関わりは欠かす事ができません。前回のコラムでお話させていただいた部分と重なりますが、保育園でもご家庭でも子どもの気持ちを受容し、温かな雰囲気作りの為に表情や話し方を工夫する必要があります。
また、子どもは大人の事をよく見ています。保育園では、チームワーク良く、前向きで温かな雰囲気を作る事ができるよう日頃のミーティングや研修を行っています。その雰囲気が子どもにも伝わり、園全体が温かな雰囲気で包まれていると安心して自分の思いを存分に発揮できます。
②物的環境
物的環境とは、“もの”や“空間”に関する部分です。日頃生活する室内や玩具、公園の遊具などが挙げられます。採光や温度、清潔さをはじめ、子どものその時の興味関心・発達に合った玩具が必要になります。例えば、何でも口に入れて感触を確かめる0歳児の子どもの周りに、ビー玉が転がっていたら、窒息の恐れがあります。また、5歳児の子どもに6ピース程度のパズルを用意しても、簡単すぎてすぐに終わり飽きてしまいます。
あとは子どもが遊びたい場所、手に取れる場所に安全に適した玩具がある事です。せっかくの“遊びたい思い”を逃す事がない環境作りが大切です。
③自然的環境
自然的環境とは、自然物との触れ合いに関する部分です。植物や動物と触れ合う事で命の大切さや優しい心を育てたり、季節感を味わう事ができたりします。食べ物を育てる事で食への関心にも繋がります。
④社会的環境
社会的環境とは、生活する周りに存在する施設や人に関する部分です。公的施設や商店、近隣住民との関わりがわかりやすいでしょうか。地域に住んでいる方との挨拶、子どもたちが大好きな消防署やおまわりさんのいる交番、一緒にスーパー等に買い物に行って社会のしくみを自然と身につける事ができます。ぺんぎん保育園では、近隣の老人ホーム等の施設とも交流をしており、園児・お年寄りの方の双方にとって良い関係となっています。
まとめ
私たちの周りは、様々な環境で成り立っています。その環境を子どもの目線や成長・発達、その時の興味・関心に合わせて設定したり関わったりする事で、子どもは意欲的に取り組み、それを一緒に楽しむ・共感・受容する事でより主体性は育まれていくものと考えます。
「最近、ちょっと落ち着きがないかも…」「おもちゃに飽きてきているのかな…」というような時には、周りの環境を一度見直してみる事も一つの方法です。“気分転換にお散歩をして身体を動かしてみる”、“発達・興味に合った玩具を用意してみる(一緒に買いに行き、子どもが選ぶ)”等、今回ご紹介した4つの環境を意識する事で、ヒントが見つかるかもしれません。